その症状、AIの答えを信じすぎていませんか?

最近、患者さんと話していると、「AIに聞いたら、○○が原因だと言われました」「自分の症状をAIで調べてきました」という方が増えてきました。
私は、AIで自分の身体について調べること自体は、とても良いことだと思っています。
自分の症状について調べるということは、自分の身体に関心を持ち、今の状態を知ろうとしているということだからです。
患者さんから「AIで調べてきました」と聞いたとき、私はまず、その姿勢を大切にしたいと思っています。
ただ、ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。それは、AIの答えを信じすぎて、「自分はこれだ」と決めつけてしまうことです。
AIの答えは「可能性のひとつ」
AIに症状を伝えると、考えられる原因や傷病名を教えてくれることがあります。その答えが参考になることもあります。
でも、忘れてほしくないのは、AIは実際にあなたの身体を見て出した答えではないということです。立ち方や動きを実際に見たり、身体に触れたり、痛みが出る動きを確認したりすることはできません。
私は患者さんに説明するとき、AIから得られる情報を「多数決のようなもの」として考えると分かりやすいと思っています。
多くの人に当てはまりやすい原因があったとしても、本当にあなたも、その一人なのでしょうか?
そこに疑問を持つことが大切です。
「AIに何を伝えましたか?」から始めます
例えば患者さんから、「AIに反り腰が原因だと言われました」と言われたとします。
私はすぐに「AIは間違っています」とは言いません。
まず、「AIには、どんなことを伝えましたか?」と聞きます。
AIが「反り腰」という答えを出したのであれば、その答えにつながった症状や姿勢、生活の情報を患者さんが伝えているはずだからです。
そこから、どんなときに痛むのか、普段どんな姿勢が多いのか、仕事や生活の中でどんな身体の使い方をしているのかを、さらに掘り下げていきます。
そのうえで実際に身体を確認します。
大切なのは、AIの答えを否定することではありません。その答えもひとつの可能性として尊重しながら、本当にその人に当てはまるのかを考えることです。
AIを「答え」ではなく「考える道具」にする
私自身もAIを使っています。ただし、AIに答えを決めてもらうためではありません。
自分の頭の中を整理するために使っています。
身体についてAIに相談するときも、「AIがこう言ったから、私はこれだ」ではなく、「こういう可能性もあるのか」くらいに受け止める。
そして、「本当に自分にも当てはまるのかな?」と考えてみる。
この使い方なら、AIは自分の身体を見直すための、とても便利な道具になります。
身体の相談は同じチャットを使うのもひとつ
AIによっては、同じ会話の中で以前伝えた内容を踏まえて答えられるものもあります。
以前相談した頭痛や腰痛、普段の生活などの情報があれば、今回の症状だけではなく、これまでの話も考える材料にできる場合があります。
そのため、身体についてAIに相談するなら、「身体について相談する専用チャット」をひとつ作り、同じチャットで相談を続ける。
これもひとつの使い方だと思います。
ただし、AIの種類や設定によって以前の情報をどこまで参照できるかは異なります。そして、どれだけ情報を伝えても、実際の身体を見てもらっているわけではないことは忘れないでください。
3日以上変わらないなら、実際に身体をみてもらう
私が患者さんにお伝えしている目安のひとつが、「同じ痛みが3日以上続いても楽にならない」または「症状が強くなっている」という状態です。
人の身体には、回復しようとする力があります。一方で、痛みにつながる原因や身体への負担が残っていることもあります。
私の経験では、3日経っても症状が楽にならない、または強くなっている場合、身体の回復を妨げている原因や負担が残っていることが少なくありません。
そのようなときは、AIだけで原因を探し続けず、医療機関や整骨院などで実際に身体をみてもらうことをおすすめします。
※突然の強い症状など、いつもと明らかに違う場合は、3日を待たずに医療機関へ相談してください。
まとめ|AIに自分の身体を決めてもらわない
AIに身体のことを聞くのは、悪いことではありません。自分の身体に興味を持ち、見直すきっかけにもなります。
ただし、AIの答えは「正解」ではなく「可能性のひとつ」。
「AIが言ったから、自分はこれだ」と決めつけるのではなく、「本当に自分もそうなのかな?」という疑問を少しだけ残しておく。
AIに自分の身体を決めてもらうのではなく、AIを使いながら自分の身体を知っていく。
私は、これからAIと付き合っていくうえで、それがとても大切だと思っています。

